今日はトランペットを吹いている人には一度は陥るであろう「スランプ」についてお話したいと思います。
私自身も音大に通っている頃、なぜか音が出なかったり、吹きにくかったりして楽器をやめようとしたこともあるぐらい悩まされました。
なので、少しでも同じように悩んでいる人たちの希望になれば…と思って書くことにします。
僕も悩んだことがあるから、お話を聞けたら嬉しいなあ。
スランプとは
誰もが一度は耳にしたことがあると思いますが、スランプとは英語で
一時的に調子が出ない状態、不調。
- 突然音が出なくなった
- 音は出るけどカスカスする
- 高音が出しにくい
- 低音が出しにくい
- すぐにバテる
などの症状です。この症状が全部出るわけではないですし、もっと些細な違和感をずっと抱えている方もいらっしゃいます。
なんにせよ、こんな状態が長期間続くと自信もやる気もなくなってしまいますよね。
でもそんな時も自分次第です。自分のやり方次第でスランプを脱することは可能です!絶対です!
それは私が長い間悩まされてきたからこそ断言できます。
一緒にスランプから抜け出しましょう!
そうやって言われたら希望が出てくるね!
スランプを引き起こす原因はなんだろう?
何事も問題の原因を考えることは解決への一番の近道だと思います。
私の経験したスランプの原因をピックアップしてみることにします。
精神的な負担
大学時代、周りの人と私の音楽に対する考え方の違いで、嫌な思いをしたり、小さな我慢の積み重なりがありました。
音楽とただ純粋に向き合うことすらできず、周りの目ばかりを気にするようになってしまうようになって、練習もうまくいかないことが多くなり、できないことばかりに目がいくようになりました。
そしてついにある出来事がきっかけで、それ以後、楽器を持つだけで涙が溢れ、楽器を練習することも辛くなるまでになりました。
もうスランプどころでないレベルでしたね…笑(笑えない)
それでもバカにされたくない、下手になりたくない一心で楽器は吹いていたのですけれど、今こうして記事にしながらも思い出すと辛い気持ちになります。(もちろん、それをわかってくれて応援してくれたり、励ましてくれる人も居ましたし、大学時代にはたくさん良い思い出もあります!)
こういったように心から楽器を楽しめる状況でない場合、不安や緊張などの精神的ストレスがスランプの原因になり得ると思います。
ストレスが直接の要因にはならないと思いますが、ストレスを受けることによって楽器演奏に必要な身体の柔軟性が失われるのでは?と思います。
ストレスを感じると人間は身体を強張らせ、身を守ろうとするそうです。
身体が強張ると楽器を持つ手に力が入ったり、ブレスがうまく取れなかったりなど、演奏に支障が出てしまいますね。
また、できないことに意識がいっている場合、できない不安や焦りも出てきてさらに悪循環になりがちです。
そう考えるとたかがメンタルなんて言ってられないですよね…!
辛かったのね…
身体の疲れから
これも私経験しました。
寝ても寝ても疲れが取れなかった時期があるんです。
毎日身体は重いし、眠たいし、やる気は起きないし。
正直、予定を詰めすぎていましたね。笑
卒業して間もなかったですし、フリーランスの立場上一つ一つのお仕事が本当に嬉しくて…
気づいたらやることに追われていたんですよね。
心にも余裕がなかったです。
当然お仕事にはレッスンだけでなく演奏のお仕事もあるわけで。
それに間に合わせなければという精神的なプレッシャーもあり、全てのバランスを崩してしまっていたように思います。
吹けるには吹けるんですけど、もう身体が疲れているので演奏も相当しんどかったです。
ちゃんと休みも大事だなと実感した出来事でした。
楽器を吹くのはエネルギーがいるもんね。
奏法に無理がある場合
こう言っても一概にまとめられることではないのですが、極端に力みすぎて演奏していたり、演奏の姿勢がどこかに負担のかかるものであった場合などが考えられるでしょうか。
知らず知らずのうちに疲労が蓄積し、その限界を越えて音が出なくなったりします。
些細なことも原因になりかねません。
腕が疲れていてそれを支えるために背中を反って構えたり、いつもより少しブレスの量が少なかったり…まだまだいろんなことが引き金になると思います。
このパターンも知らず知らずのうちに自分の演奏のバランスが崩れてしまって、気づいたら何かおかしいな、吹きにくいなってことになってしまうようです。
さらに生徒さんの声としても多いのが、コンクール前(本番前)に音が出なくなった。というものです。
これは実際私も中学生の頃に経験しました。焦りますよねこれ…
連日の練習で体の疲れも唇の疲れもたまっているところに、追い打ちをかけるような強化練習…。
あともうちょっと本番のために頑張りたい!って思う気持ちだからこそ頑張りすぎてしまうんですね。
これも含め無理が祟ると、いわゆるスランプに陥ってしまいます。
ついつい本番前は頑張りすぎちゃうけど、無理は禁物ね。
ではスランプに陥ったときどうしたら良いのか。具体的に考えてみましょう。
焦りは禁物!スランプ脱出法は?
どうしても焦ってしまいがちなスランプ。
でも焦れば焦るほどどんどんわからなくなるし、悪循環にハマっていきます。経験済みです。笑
脱出法(そんな大げさなものではないか…笑)は色々試してみました。私に一番効果のあったものはもちろん、それ以外にも試してみたことは惜しみなくご紹介します。
楽器は吹かない、心と身体のメンテナンスをする
これ、よく言われる方も多いのではないでしょうか?
これは私がスランプに関わらず大事にしていることです。
スランプのときって「このままじゃダメだからなんとか練習しなきゃ!」の考え方になってしまう方、多くいらっしゃると思います。
でも練習って「こうしたい!」や「これもやってみよう!」って自分の気持ちが前向きなときほど捗るし、効果があるものなのです。
厳しいことを言うようですが、根性論で無理に吹き続けたところで確実に上達はありません。
少し気持ちにも余裕が持てることが大事です。
それに身体の疲れが取れたり、心がリラックスできればスランプの大敵である力みも自然と遠ざかります。
どこかリフレッシュしに出かけてみるのも良いでしょう。
自分の好きな音楽を聴いてみたり、歌を歌ったりするのもオススメです。
「あ、このフレーズ綺麗だな、吹いてみたいな」と思えるようになれば自分の中にある『音楽したい欲』が刺激されている証拠なので(^^)
そうなったらまた新たな気持ちで練習してみてください。
楽器を吹かない時間が演奏に役立つこともたくさんあるのです。
確かに好きな曲を聴いている時は、純粋に曲の良さに引き込まれるよね。
私は疲れたらホットアイマスクをして寝ます。
目元がほかほか温かくなり、気持ちよくて自然と眠りに落ちます(^^)
おすすめですよ。
基礎練に徹する
これは学生時代にやってました。
楽器を吹かない時間も嫌だったのでとにかくロングトーンしてましたね。笑
一つ気をつけていたのは、自分がまだ納得できる音色が出せる音域のみに限定して練習することでした。
無理に出そうとするともっとバランスを崩しますから、出しやすく、納得できる音を確かめながらゆっくり行いましょう。
そうやって吹いているうちに、気づいたら元の吹き方を思い出せている感じでしたね。
他の方法より時間もかかりますし、やり方によってはリスクもあるのであまりオススメはしません(><)笑
吹かないのも勇気がいるし…少しでも吹いていたい時はこうするのね。
唇のケアをしまくる
私も数年前までは奏法に無理があったタイプで、よく演奏した日は唇を腫らしていました。
腫れてしまった次の日は振動しづらくなり、それはそれは絶望しかありませんでした笑
そうならないためにも、よく演奏した日のうちに唇をアイシング。
お風呂ではほっぺたのマッサージ。
寝る前はワセリンやリップクリームなどを塗って保湿。
そうすることで少し改善できた部分もあると思います。
今でも保湿は命と同じくらい大事にしていますけどね(^^)笑
ちなみに私の愛用リップクリームはこちら!
ふむふむ、「保湿のリップクリームは命ぐらい大切」っと。
自分を客観的に分析する
大学を卒業し、色々な勉強、レッスンを受ける上で気づいた方法です。
正直なところ私に一番合っているのはこの方法です。
スランプはいつもの奏法のバランスが崩れてしまっている状態です。
いつもと違う何か、つまり小さな違和感に気付ければ脱出の糸口、見えてきそうじゃないですか?
これから私が実際に過去に気づいた小さな違和感をご紹介します。
- 息が入りづらい
- 左手が疲れやすい
- 息が吸いづらい
- お腹が疲れている
こんな感じです。
ほんとだ!見逃しそうな症状だね!
音色や音量など、音に関することはこれらが原因となって、引き起こされている結果の部分なので、音以外の部分の違和感を見つけてみましょう。
私はこれ以外の症状はほとんど出ることがなく、出てもすぐに解決できるので、重症化(?)しやすいものはこの辺りの症状だと把握しています。
実際生徒さんへのレッスンでは違う症状を訴える子もいるので、人それぞれ違って当たり前だと思います。じっくり考えてみましょう。
そして先ほどの小さな違和感からさらに掘り進めてみたものがこちらです。
(上記の番号と同じ番号のものが自分なりの解答です)
- 息を吸う量が少ない→そもそも息が吸い辛い→持ち方に力が入って上半身が不自由になっていた(いつもより右腕をあげすぎていたことによる身体のバランスの崩れ、それにより肩も凝っていた)→鏡をみてフォームチェック
- いつものフォームと違い、左手だけで支えようとしていた→右手も積極的に使ってみるようにした
- 1の改善策とほぼ同じ。
- 1の改善策とほぼ同じ。
こうなりました。
少しの違和感がこうやってつながっているなんて…!
最終的に行き着く答えは非常に些細なことなのがわかりますか?
些細な違いでも、身体はどこかに負担をかけてバランスを保とうとするのでしょうね。
色々驚きです。
そしてこの結果から、息が吸い辛い場合は身体のどこかが力んでしまい、自由に動ける状態でないことで引き起こされるということに気づきました。
力む箇所は場合によって様々ですが、私の場合100発100中(?)どこかで力んでいました。
私の場合、普段の奏法はだいぶん無駄な力を省けるようになったと思うので、このスランプの原因はストレスによるものなのか、身体の疲れによるものなのかのどちらかだと思います。
よくよく考えてみると、私はおそらく精神的なストレスなのです。笑
そこから身体を無意識に強張らせてしまうことが多いんでしょうね;;
実は先述の学生時代の出来事であがり症になってしまい、今はいろんな方にお世話になり、本番であがることはなくなりましたが、本番前はついつい演奏に対する不安などを考えすぎてしまうんです(><)早く克服したいです。
ちょっと話が逸れましたが、こうやって分析すれば自分が負担をかけてしまうパターンがわかってきます。
その都度違和感に気づいたらメモをしておいて、その結果がわかればそれもメモしておく。
私はこれをここ数年繰り返し、自分のパターンを見つけました。
パターンがわかってからはスランプとはほぼ無縁です。小さな違和感のうちに改善できちゃいますから(^^)
スランプを予防する
そんなスランプも予防できるのであれば予防できるのが一番に決まっています!
もうここまで読んでくださった皆さんならなんとなくわかるのでは?と思うのですが、私が思うスランプ予防に大事なことを挙げてみますね。
- 気分が乗らない日は無理に練習しない
- どうしても練習しなきゃならないときは自分の納得できる音色が出せる音域に限定する
- 楽器を吹いていない時間にも練習ができることを知っておく
- 普段から音楽を聴き、「音楽したい欲」を高めておく
- 小さな違和感を見逃さず、いつも通りとは何かを把握しておく
1.2は先述した通りです。
3.4は似たような意味合いかもしれませんね。楽器を吹いていないときこそ自分のやりたいことややりたい音楽がはっきりしてくると私は思います。
好きな曲を聴いて音楽のイメージを持つことは、がむしゃらに練習するより非常に効果的ですよね。
それに「こんなことがしたい!」という気力があればストレスなんて吹き飛ばしますから(^^)
なんでも前向きなのは大事なことね♪
5も先述した通り、そこで自分のパターンがわかればそうなる前に自分で良い方向にシフトチェンジできますよね。
良い方向にシフトチェンジするためには良い方向も知っておかなくてはなりません。
なので「今日すごく楽に吹ける!」「いい音が出せた!」など、少しでも良いことが起きたらどんなフォームで吹いているときにそれができるのか、チラッと鏡を見てみましょう。
他にも、楽に息が吸えるときはこのあたりがしっかり膨らむ気がする!とか息を吐くときはお腹のこの辺りで支えている気がする!などを観察してみてください。
そっかあ、今度自分の吹いてるときの動画を撮ってみようかな〜
息に関しては見えないので自分の感覚頼りになりますが、続けているうちに覚えられます。
諦めずにチャレンジしてみてください!
終わりに
いかがでしたでしょうか。
私なりの方法なので、100人中100人の方にしっくりくることは難しいのかなと思っています。
ですが私自身、思うように吹けず歯がゆくて悔しい思いをたくさん経験してきたので、少しでも同じ悩みをお持ちの方の希望になればと書かせていただきました。
(想いが熱すぎて今までの記事で最多の文字数になっております笑)
最後にご紹介した脱出法は私がいろいろ試して考えた結果たどり着けた方法なので、みなさんも諦めず工夫すれば、自分なりの脱出法がきっと見つかるはずです。
音楽、トランペットが大好きで、楽しみたい気持ちがあれば絶対に抜け出せます。
私はそんな方々を応援しています♪
うん、僕も一緒に頑張る!
私もよ♪
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